かねてからの念願だった原毛の本藍染めを、昨年秋についに実現しました。染処風来坊さんで、藍の何とも言い難い独特の香りの中、いちにち楽しい時間を過ごさせて頂きました。感謝です。
風来坊のお師匠さんとお弟子さんは、その絆と信頼関係が、絶妙な言葉のやり取りから感じられ、笑いの絶えない楽しい体験となりました。
藍は生き物ですから、きっと私たちの楽しげな笑い声に反応して、良い感じに染まってくれたのだと思っています。
原毛は、中までよく染まるよう、繊維に少し空気を含ませるようにしてからネットに入れ、準備完了。今回は、淡色と濃色の2色に染め分け。
素材は、羊毛の中でも光沢があり滑らかな肌さわりのブルーフェイスとメリノよりフェルト化し難いコリデールにしました。
ブルーフェイスは私のセーター用、コリデールは夫のセーター用です。
表面についた藍の葉っぱは、染色完了後、干す前に丁寧に取り除きます。
染め時間は一回15分。それ以上は染料が入っていきません。一度藍甕から引き出し、流水に晒します。甕から引き出した時は緑色なのですが、水に晒すと酸化し藍色に変化します。軽く脱水し空気に晒して酸化させることで、藍が更に青く発色します。これを繰り返すこと7回。それ以上は殆ど変化が見られませんでした。
濃紺に仕上げたかったため、何日か置いてから、再度染め重ねて頂くことに・・・。
2度染め重ねて頂きましたが、殆ど染料が入らず色に変化が見られなかったため、合計9回の染め重ねで終了ということになりました。
淡色は、仕上がりの濃淡さを大きくしたかったため、3分程藍甕に入れ濃色同様、水に晒し脱水、空気に晒してしばらくおき、その後もう一度藍甕に入れ、合計2回で染め終了。
染色後、2週間ほど竿に干した後、水の中に一晩浸水しアク抜きをします。これを4回繰り返します。アク抜きすることで、発色が良くなるのだそうです。透明な水が、うっすらと茶色になります。回数を重ねる毎にアクが出なくなり、最後は殆ど水の色に変化は見られませんでした。
原毛の表面だけでなく、中まで均等に酸化発色させるため、干す時は、原毛が濡れているうちに手で繊維をほぐし、均等に空気に触れ易くします。時々裏返したり、竿に掛かっている位置をずらし、できるだけムラなく均等に発色させます。
アク抜きすることで、染色による繊維のきしみも緩和され、発色も促進されたように感じます。
藍は、染めてから1年寝かすと色が安定するのだそうです。
私は、そんなに待てそうにもないので、最低どのくらい寝かせる必要があるのかとお聞きしたところ、3ヶ月は我慢とのこと。
「急いてはことを仕損じる」と申します。
ああ、早く3ヶ月が過ぎますようにと、毎日原毛を眺めておりました。