春夏用・リネンとスーピマ綿の手紡ぎ糸の帽子

今まで、なかなか春夏用の素材にじっくり取り組む時間を作れずにおりましたが、やっと実現・・・。
既製の帽子に満足できず、いつも「もうちょっと、ここがこんな風だったら良いのになぁ・・・」と思い続けておりました。
つば広の帽子は風のない日は、日よけ効果を発揮してくれますが、少し風が強いとつばの部分がめくれ上がり、時には帽子が飛ばされることもあります。カチッとし過ぎていると折りたためず携帯に不都合。しかも、折跡が残ってしまう。日差しの具合や、その時のファッションにより、かぶり口を様々にアレンジできたら便利なのに・・・など。
そんな悩みを一気に解決できればと思い、素材のMIX比率や構造を模索。
コンセプトは、勿論「シンプル・イズ・ベスト。男女兼用」です。そして、上記の思いを全てクリアすること、として取り組んでみました。

まずは、糸の素材選びから。写真左はリネンの繊維、中央はスーピマ綿の繊維です。リネン繊維は中空孔のため、吸水性・速乾性に優れ、汗ばむ季節には、肌に纏わり付かず爽快感があり、春夏用の素材として魅力的。スーピマ綿は、綿の中でも高品質で、Superior Pima(高級ピマ)の略です。繊維の長さは35㎜以上の超長綿で、繊維が細くしっとりとした柔らかな肌触りで光沢もあり、カシミアにも匹敵すると、高い評価を得ています。綿繊維も、リネン繊維同様中空孔です。
余談ですが、その漢字を知らず、昔「蝶々綿」と勘違いしていた私は、「蝶々が沢山やってくるお花が咲く綿なのだ・・」と思っておりました。お恥ずかしい・・・。
その2種類の繊維の良さを生かし合えるMIX比率を、糸の試作に試行錯誤。繊維の長さが異なるため、敢えてその効果を狙い、スラブ双糸に紡ぎ、それぞれの繊維の表情が自由に現れる糸に紡いでみました。
リネンの清涼感を損なわず、携帯する時に折跡がつかぬようスーピマ綿の柔軟性の助けを借りることにしました。その比率がリネン:スーピマ綿=65%:35%です。帽子本体は、上記写真右の糸を使用。日よけとなるプリムの部分は、風でめくれあがらぬようなギリギリの幅にし、ヘナヘナしすぎないよう、リネンのみで細く双糸に紡ぎ、上記写真右の糸と引き合わせにして編み込みました。
それにより、プリムの部分で増やし目をしなくても自然な広がりが得られました。

プリムの部分がしっかりしたことで、プリムの後方を折り返したり、前方だけを折り返したり、プリム全体を折り返したりと、様々なアレンジが可能となりました。
プリムを折り返さず目深にかぶると、格子戸から外の様子が見えるように、編み目の隙間から気配がわかるところも気に入っています。
やや深めに仕上げている上、手紡ぎ糸を手編みすることで伸縮性も兼ね備え、タイトにかぶりたい時は、少し縦に引っ張り、ゆったり目にかぶりたい時は、帽子の内側に両手を入れ、少し外側に広げてとサイズ調整も自由自在。
スーピマ綿をMIXすることで、折りたたんでも跡が残らないよう工夫。
藍染めにした裂き布をアトランダムに編み込み、アクセントにしてみました。シンプルなデザインですが、とても機能的で使い勝手の良い帽子となりました。

編み針は、5号かぎ針を使用。紡いだ糸は2.2番手スラブ双糸。リネンのみの双糸は3.4番手。少し緩めに編んだ方が、編み進む時にかぎ針を目に挿入し易いです。編み方は筋編み。段を切り替えるより、ぐるぐると編み進めた方が仕上がりが綺麗です。途中までの増やし目は、その位置が分かり難いように分散して編み進めます。
筋編みにした理由は、重くならぬよう仕上げたかったことと、涼しさを感じられる帽子にするため、編み目に隙間が欲しかったからです。
藍染めの裂き布は、布の両端を編み込んだ中に収めることで、仕上げが綺麗になります。裏面は編み地の表情が異なりますので、リバーシブルで両面使えます。そのためにも裂き布の丁寧な始末が大切です。

裂き布だけだと、重たいものになってしまいますが、思い出の布を、このように少しだけあしらうと、ちょっと控えめながらもその凛とした主張が感じられるのではないかと自負しております。
裂き布は、ほんの少し撚りをかけてからの方が編みやすく、次の段に移った時に、編み目がわかり易く綺麗に仕上がります。

 

ピレネーシープとコリデールの帽子

使用糸量:121g(ピレネーシープ、チェビオット、コリデールスカード)
ピレネーシープの荒々しさと保温力。その荒々しさを補うために弾力性に優れたチェビオットをMIX.。
マフラーなどの首周りには向かない素材ですが、帽子ならOK。
コリデールは、カーダーを使うと混ざり過ぎてごつごつ感が失われてしまうので、ゴミを取り除きながら手でほぐします。好みのごつごつ感が得られるところまででほぐしを終了させるのがコツです。カーダーを使わなくても、手でほぐし過ぎると、結局カーダーをかけたのと同じ結果になってしまうので注意が必要です。
編み方:別糸で44目作り目。6号棒針で148段ガーター編み。別糸をほどき棒張りに移してガーターとじ。
トップを十字にとじ、房をつける。

仕上りサイズ: 24cm×32c

アップで

市販糸では得がたい個性的な表情の糸になりました。
脂分も、手洗いすることで落とし過ぎず、手触りも異なり保温力もアップ。
いいことづくめです。
ナチュラルカラーのみでも、互いの個性を尊重しつつ表情豊かな糸が自己主張しています。

房をアップで

 

紡ぎのワークショップ2012夏

紡ぎのワークショップ2012夏

8月10日、東京杉並区にて紡ぎのワークショップをしました。
小学二年生の女の子二人と、そのお母様お二人においでいただきました。
二人が通う小学校では、教育の一環として、子供たちが羊を飼育し、毛刈した羊毛を使って糸を紡ぎ、その糸で何か作ってみるというプログラムに取り組んでいるということです。
猛暑の日にも拘わらず、集中力を切らすことなく、皆さん思い思いのオリジナル糸を紡ぎました。特に、お二人のお子様の集中力と理解力には脱帽です。
一頭の羊の毛でも、首周り、脇の下等は擦れてフェルト化していること、お尻の周りは、糞などの汚れがあること、肩の部分はダメージが少ないことなどを説明すると、飼育観察をしているので、「うわぁ、そうなんだぁ」と目をキラキラさせて納得の表情。
こちらまで嬉しくなってしまう・・・。
学校で手作りしたスピンドルも、重心がとれて安定して廻るものに仕上がっていました。
スピンドルの重さで紡ぐ糸の太さも異なること、手作りスピンドルに紙粘土をプラスして重量調節をおすすめしました。
これからも、皆様が羊の飼育観察を通し、より羊毛に親しみ、楽しく遊んでいただけることを心から願っております。ご参加頂きありがとうございました。

撚り止めをした毛糸たち

紡いだ糸は、かせとり棒に巻き取り、撚りの方向と同じ方向にかせをきつめにねじり差込み、蒸して撚り止めの出来上がり。これで撚りが戻らず完全な毛糸になりました。
かわいいかわいい糸たちの誕生でーす。
さてさてこれで何を作りましょうか?
出来上がったら私も見てみたいなぁ(ひとりごとでーす)

紡ぎ屋 遊楽(ゆら)展示会のお知らせ

来る10月7日から10日までの4日間、東京都世田谷区梅が丘のHoppedakkoにて、
初めて「紡ぎ」の展示会をいたします。
Hoppendakkoは、オーナー手作りの革製品を扱う素敵なお店です。
偶然の出会いから、お誘いいただき、この度の展示会をさせていただく運びとなりました。
感謝です。
原毛を紡ぎ、染め、織り、編み、フェルトワークなどでベスト、帽子、ネックウォーマー、リストウォーマーなどにしてみました。

織り、染めと違い、認知度の低い「紡ぎ」ですが、少しでも多くの方にその楽しさをお伝えしたく、原毛に触れていただける展示にしたいと考えております。
お会いできるのを楽しみにしております。


紡いだ糸で布地を織り、ベストに。
糸を使わず、フェルトワークで仕立てています。

展示会場はハンドメイドレザーのお店Hoppendakkoで行います。

 

2011年8月26日、工房にて「紡ぎ」のワークショップ開催

工房にて「紡ぎ」のワークショップ準備
工房にて「紡ぎ」のワークショップ準備

千葉県南総文化ホールの企画、「工房めぐり」の第一弾として、26日に「紡ぎ」のワークショップを開催いたしました。募集6名のところ、満席となり嬉しく思います。
最年少は、小学6年生。母娘で興味をお持ちいただけて、感激です。
房日新聞に、ワークショップの記事と写真を掲載していただきました。
認知度の低い「紡ぎ」ですが、これを機に、少しづつその楽しさをお伝えできたらと思っています。
参加してくださった皆様、本当に有難うございました。

原毛をMIXしてオリジナルカラーに
原毛をMIXしてオリジナルカラーに

赤・青・黄の3原色と、ナチュラルカラーの淡茶・濃茶・白の合計6色を使用。原毛の準備の仕方で紡ぎだす糸が変わってきます。ここから、それぞれの個性が主張され、どんな糸になるのか、楽しみです。

個性豊かな手紡ぎ糸たちです
個性豊かな手紡ぎ糸たちです

ブルー系の糸、太目の糸、赤をアクセントにした糸などなど。さあ、この糸で何を作りましょうか?
この長さ、太さならアクセサリーが良いのでは?との意見多し。できあがったらみせていただきたいなぁ・・・。